お囃子
山車の中で演奏されるお囃子は、埼玉県北東部で演奏されている江戸囃子系のお囃子で、笛(一人)、摺り鉦(一人)、ツケ(小太鼓(二人))、タマ(大太鼓(一人))の5人で演奏します。
笛は指揮者であり、曲の誘導を担います。摺り鉦は「四助」とも呼ばれ、他の4人のテンポを合わせる役割を担います。ツケは主役であり、タマはツケを際立たせるベース役となります。
曲目は、「地囃子」「切り」「乱拍子」「刻み」等があります。9割近くは、「地囃子」と「切り」で構成されています。
笛の音色で、一際高く長い音が「地囃子」と「切り」の切り替えの合図です。
ツケだけの演奏になっている場合は「刻み」です。
各町で微妙に叩き方が異なるとのことですので、聞き比べてみるのも面白いかと思います。
全国のお囃子のなかでも、疾走感のある軽快なお囃子です。豪快に方向転換をしたり、走りだしたり、回転したりと激しく動く山車の性格や、夏の暑さに合ったお囃子であると感じます。
通常の運行ではスローテンポで演奏されていますが、他町の山車に接近する時や、駅前広場、四つ角では、テンポが速くなります。
山車が運行されている間、お囃子は絶えず演奏されます。式典や、手打ちの時のみ、お囃子を止めます。お囃子が無いと、山車は動かせないという心持もあります。
お囃子の演奏者は、各町の祭保存会の小・中・高校生が中心です。昭和50年代頃までは、近隣の町(白岡・蓮田等)にお囃子の演奏を依頼していました。(※参照 埼玉県民俗芸能調査報告書 第十二集 埼玉の祭り囃子Y(北埼玉、南埼玉、北葛飾地方編) 埼玉県立民俗文化センター 平成8年2月)
お囃子の練習は毎年5月頃から始まります。各町からお囃子の音が聞こえてくると、久喜の人々は夏の到来を感じます。
● 馬鹿囃子(地ばやし→切り)